盛り上がりに欠けるトランプ大統領に対する弾劾 (2019/12/12)
今月10日に米国下院で多数を占める民主党がトランプ大統領に対する弾劾条項2項目を発表したが、ニクソン大統領のウォーターゲート事件ほど世間の盛り上がりはない。確かに民主党支持者の8割超が大統領弾劾を支持するが、その一方、共和党支持者の8割超がトランプ大統領の成果を評価している。
ザ・エコノミストによれば、弾劾に関する公聴会を見た人の7割が弾劾に賛成するが、見なかった人の6割弱はトランプが大統領であることを支持している。
ギャラップの調査によれば、ウォーターゲート事件の時には少なくとも国民の71%が弾劾に係る何らかの報道を見聞きしたが、トランプ大統領の弾劾に係る公聴会の報道を見たのは僅か35%でしかないという結果が出ている。
要は、世間は二分、関心も今ひとつということである。
今後、下院で弾劾決議案を可決したとしても、弾劾裁判を行う上院でトランプ大統領が罷免される見込みは殆どない。上院で多数を占める共和党はトランプを支持しており、弾劾に必要な3分の2の賛成を得ることは到底叶わない。
民主党は大統領弾劾という手段に打って出たが、弾劾をクリスマスまでにという焦りがあり、進め方が拙速であったように見える。トランプ大統領罷免が実現する見込みは殆どなく、上院で弾劾を否決された場合、民主党が受ける痛手は小さくない。