外国人就労者と移民問題 (2014/7/21)

 

 

今朝の朝日新聞に「(災害大国 あすへの備え)働き盛り襲う熱中症 休み 明け、体慣れず」という記事が出ていた。そこには労働中の熱中症死亡事例が幾つか載っており、その中の一つに、建設業の20代の外国人技能実習生で除草作業中に死亡したという事例があった。

 

今や街中の建設工事現場を見渡せば、明らかに外国人と分かる職人さん達がその中にいても、さほど珍しいことでは無くなって来た。彼らは、いわゆる技能実習という名目で在留許可を得て働いているのだろう。

 

一方、政府が人口減少への対策として移民の受入を検討しているとのニュースがある。しかし現実を見れば、政治が移民問題を議論する前に、人出不足に悩む現場、とりわけ3K分野では、とうの昔に技能自習という名目で労働者として外国人を受け入れているのが実態である。

 

この技能実習という制度、途上国の人に現場の技術を身につけさせ、国に帰った後、その道で身を立ててもらうという建て前になっているが、そんな話を信じる人はそれほど多くあるまい。実態はと言えば、外国人労働者を安い賃金で、しかも使い捨てが可能な形で雇用するための制度になっている。研修という名目なので、まともに賃金を払っているわけではなく、雇用保険の適用もない。ひどいところでは、研修期間中、彼らが逃げ出せないように旅券を取り上げているところがある、と言った話まで出ている。

 

正直言って、まともに移民問題が議論できないところで、こんな違法な労働(研修だから労働ではないというのが建て前になっている)はさっさと止めた方がお互いのためである。安くこき使われているだけの外国人が日本を尊敬するはずもないし、建て前上、移民の受入制度が整備されていない中で、実態として外国人労働者を差別的な賃金で受け入れているとなれば、いずれ国際的にも問題になるだろう。しかも、日本は途上国の貧しい人達の足下を見て、低賃金で、しかも雇用保証もないまま使い捨てにしているという最悪の形で叩かれることになる。

 

こんな制度では、誰も幸せにはなれない。

 

 

 

 

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