『どうすれば秘本経済は復活できるのか』 野口悠紀夫 202311 SDクリエイティブ

 

 

今年に入り株式市場は活況を呈し、今年の春闘では大手企業は大幅な給与引き上げを回答し、そして今日は日銀がマイナス金利の解除を決定した。

 

ここに来て30年間にわたって停滞し続けた日本経済が僅かながらも上向きに転じつつあるな、という兆候が感じられる。とは言うものの、長期的に見れば日本が置かれている経済・社会環境は決して楽観的なものではない。一番の理由は少子高齢化である。すでに65才以上の高齢者が総人口に占める割合、つまり高齢化率は29.1%1/と、ほぼ3割に達している。

 

著者の野口氏は、経済学者の立場でこれまでも様々な場で日本経済が抱える問題点や取るべき対策について発言してきた。この本の内容は大旨それらを集大成した内容である。

 

現実を見れば、日本の競争力ランキング2/は世界で35位、この順位はシンガポールの4位、台湾の6位、香港の7位は言うに及ばず、中国の21位、韓国の28位を下回る。1989年から92年まで日本が1位であったことを思い起こせば、如何に日本が凋落の一途を辿ったかがよく分かる。一番の原因は、デジタル分野での遅れ、ビジネスの効率性の低さ、そして政府の効率性の低さにある。

 

どんなに嘆いても、これが日本の今である。

 

野口先生は、日本経済が停滞した原因、今後の日本経済の見通し、(政府の)金融政策の誤り、そしてデジタル化の波に大きく乗り遅れた日本などを列挙した上で、問題点の分析、将来の見通しと懸念、そして何をすべきかを論理立てて説明する。

 

端的に言えば日本の経済が停滞し続けたのは、生産性の向上が見られなかった結果である。とりわけ生産性向上に不可欠なデジタル化の遅れは、中国や韓国と我が身との差を見れば明らかである。

 

金融政策の失敗も経済の足を引っ張った。この2年間で起きた急速な円安は、日銀がいつまでも拘り続けた金融緩和政策の結果である。輸出型の企業はこの円安で為替利益を手にした一方で、企業の活力を奪った。

 

と、こんな話しを素人にも分かり易く講釈してくれる。

 

 

 

            1/         『統計トピックスNo.138 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-』 総務省 2023917

            2/         IMD World Competitiveness Ranking 2023

 

 

 

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