トランプ大統領、二つ目の失敗 (2017/3/25)
トランプ大統領は、選挙期間中の公約の目玉であったオバマケア廃止法案をあっけなく取り下げた。下院で採決に入れば、共和党内でも反対票を投じる議員があり、とても法案通過はおぼつかないことが理由である。
イスラム国からの入国禁止を実施するための大統領令(新旧)が二度とも裁判所の差し止め処分となったのに続き、これは大きな敗退である。オバマケア廃止法案の先行きが危なくなった先週後半にニューヨーク株価が下落したことは、トランプ大統領への期待感に疑問符が付いたことを表している。
今週号のエコノミストに早速このオバマケア廃止法案の頓挫について記事が出ている。トランプ大統領という人物をどう理解するかという点で、なかなかの正鵠を得ている。
トランプ大統領は選挙期間中、選挙戦を争うヒラリー・クリントンを「最も腐った政治家」と攻撃し、オバマケアを過去成立した法律の中で「最もとんでもない法律」とこき下ろした。これを聞いた支持者達は欣喜雀躍、大喜びしてトランプの演説を聞いていたが、詳細な中身などはどうでも良かった。
要するに、トランプ氏は政策に関心があるわけでなく、お客と支持者が聞いたら喜びそうなことを言い放って、喝采を浴びることにしか関心がないというわけである。オバマケアを廃止して、俺の保険法案を通したら「すげーぞ」。もっと多くのみんなが、もっと保証内容の良い保険を、もっと安く手にできるんだぜ!!とぶち上げた。
お生憎様、そんなうまい話があるはずない。すでに議会予算局はオバマケアの廃止で2400万人が無保険者になると報告している。共和党の保守派議員ですら廃止に反対したのは当然である。
そう言えばこの数日間、ホテルの朝食で見ているCNNの番組では、オバマケアを廃止したら何が起きるか、とんでもない話だ、という激論が続いていたことを思い出す。