萩生田文部科学相の失言騒ぎ (2019/10/29)
萩生田文部科学相が来年度から導入される大学入学共通テストへの英語の民間試験の導入について「身の丈に合わせて頑張って」と発言したことで、あちらこちらから非難を受けた。
住む場所や家庭の経済状況によって民間試験を受ける上で不公平が生じないかという質問に対して、「あいつは予備校に通っててずるい」というのと同じと反論したことが発端のようである。
この方、確か安倍首相のモリカケ問題でも、その発言を巡っていろいろあったと記憶する。己の発言がどのような波紋を及ぼすか、さほど考えもしないまま口が先に走ってしまうのは、政治家としてはどうなのでしょうか。
さて、民間の英語試験であるが、私も仕事上の理由で、何年かごとにTOEICを受けている。
私は神奈川県に住んでいるので、試験の頻度と場所で不自由することはないが、地方に住んでいるとそうはいかない。
都市部の在住ではない受験生にとって、その負担が決して小さくないことは明らかだろう。北海道でいえば、札幌ではほぼ毎月試験が行われるが、帯広や北見に住んでいる受験生がそのためにわざわざ札幌まで出かけなければならないのは、経済的にもかなりの負担だろう。
ちなみに文科省の発表によれば、国立大学のなかで北海道大学と東北大学は民間試験の利用に参加しない。その理由は定かではないが、私は、この二つの大学は地方部に住む受験生の負担を重く見たのではなかろうかと、勝手に思っている。
民間試験を入試に活用することはあり得る選択肢と思うが、私には、この制度、少々安直に決めてしまった気がする。前述のTOEICは知名度があり前評判は高かったものの、今年7月時点で、責任ある対応が困難として大学入学共通テストへの参加を降りてしまった。
そんな流れでこの問題を見てみると、萩生田文科相の発言は余りにも他人ごとのようで、文科省の長としてはお粗末すぎた。そんなわけか、今朝の朝日新聞でこの問題が取り上げられたと思いきや、早速お昼の記者会見で発言を撤回し、謝罪してしまった。