兵庫県知事選挙の結果 (2024/11/18)
昨日行われた兵庫知事選挙は意外な結果で終わった。あれだけスキャンダルにまみれ、県議会全員による不信任決議を突きつけられ、そして選挙では政党の支援もなく孤立したまま立候補した前知事の斎藤氏が、当初は有力とみられていた稲村氏に13万7000票の差を付ける111万3000票を獲得して当選した。私などは、斎藤氏が惨敗するのではないかくらいにしか見ていなかった。
今朝の新聞を読んでみると、どれも斎藤氏がソシアルメディア(SNS)を旨く使って支持者を集めたことが勝因になったと書いている。斎藤氏の戦術がとりわけ既存のメディア、つまり新聞やテレビよりインターネット上の情報を重視する若者の心を掴んだ結果と分析している。例えば、日本経済新聞は出口調査で10〜30代の斎藤氏への支持は稲村氏の3倍に及んだと報じた。
SNSが票の獲得に貢献したことは事実であろうが、あたかも若者達が新聞やテレビのような客観的な情報に基づかず、インターネット上に溢れる真偽すら疑わしい情報だけを信じて、斎藤氏支持に流れたという分析はどうなのだろうか。少し上滑りな見方のような気がする。
朝日新聞が報じた出口調査結果では、斎藤前知事の3年間の県政を評価すると答えた有権者が76%を超え、反対に評価しないは22%にとどまった。一方、文書問題をめぐる県の対応については、回答した有権者の6割が県の対応に厳しい目を向けた。
投票を決める要因を見ると、「政策や公約」が39%、 「人柄やイメージ」が27%、 「経歴や実績」が19%で、 「文書問題への対応」は10%に過ぎないと答えた。
私には、この朝日新聞の調査結果が今回の選挙結果を説明できるのではないかという気がする。パワハラやおねだりといったスキャンダルは深刻な倫理問題であったが、選挙民は彼の実績を評価した。加えて、SNSを通して今回の選挙が「県政を改革した斎藤陣営」対「古い県政にしがみつく守旧派(反斎藤陣営)」との闘いであるという構図が出来上がったと考えたら、少々穿ち過ぎだろうか。
倫理観より実行力。この選挙結果、何やら米国大統領選でドナルド・トランプがカマラ・ハリスに圧勝したことを彷彿とさせる。
さてさて、斎藤新知事が、あれだけ関係が捻れてしまった県職員や県議会と、今後どう折り合いを付けて県政を運営して行くのか大いに見物である。