Go To キャンペーン (2020/7/18)

 

 

東京の新型コロナウイルス感染者数が高いまま推移していることで、「Go To キャンペーン」も賛否両論、揉みくちゃにされてしまった。確かに、現在の都の感染者数の推移を見ると、4月から5月にかけての第一波当時の数字を上回っており、素人目には第二波が到来したように見える。

 

東京都の状況は深刻化しつつあるものの、13500億円を投じて落ち込んだ観光業を支える起爆剤にしようというのであるから、政府としても「それでは止めときましょう」というわけには行かないのだろう。

 

一方でキャンペーンが感染を東京から全国にばらまく危険があると、声を大にして叫ぶ人はいるが、他方、地方の観光業に目を向ければ、廃業寸前にまで追い込まれている業者もあり、これを何とかしなければならないという切実な声がある。

 

個人的には、私はこのGo To キャンペーンを今実施することに反対ではない。反対する人の多くは、今この時期でなくともコロナ渦が収まってからと言うが、それを待ってからでは、観光業の救済支援策にはならない。コロナ禍が収まった時には、かなりの数の業者が倒産、廃業に追い込まれていることだろう。

 

どう考えても、新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬が世の中に行き渡るのに、とてもあと1年では済みそうにない。今の時点で確実な見通しは全く見えていない。つまりここ当分の間、社会は新型コロナウイルスとともに生活を続けざるをえない。感染拡大を抑える、あるいは急速な拡大を避けることは必要であるが、人々が日々の生活を維持するためには、コロナ渦を恐れて経済活動をいつまでも収縮させることはできない。つまりウイルスとの共存(よく言われるWith Coronaの時代)の道を探るしかない。

 

確かにキャンペーンで人が国内を移動すれば、感染するケースは出るだろう。しかし東京を見れば、政府も東京都も6月以降通常の経済活動を維持しようとしており、電車で東京圏を移動する人は多くなっている。今起きている第二波(政府はこの言葉は使っていないが)の原因となった新宿地区の夜の町に対して、行政は営業規制を掛けたわけでもない。

 

何を置いても疫学的に感染者数を抑えることが最優先というのであれば、旅行で人が移動することを規制する前に、震源地となっている都内にある夜の町の活動を規制することの方が遙かに効果的、かつ優先度は高い。しかし、それが簡単にできないのは経済への影響があるからに他ならない。矛盾する幾つかの要因を踏まえて、妥協点を見つけることが政治判断となるし、それが最適解である保証はどこにもない。

 

昨日、政府はキャンペーンから東京を外すという判断をしたが、賛否両論が渦巻く中、今時点の政治判断としてこれは致し方ない妥協点であろう。東京にしてみれば、隣接する3県が除外され、「なぜ東京だけが」という不満はあろうが、制度上、どこかで線引きせざるを得ない。

 

そもそもこのキャンペーンは強制されたものではない。補助金を受けることについて、旅行に行く人も、それを受け入れる旅行業者も、自由意志でそれを判断できる。とりわけ観光業が置かれている状況は、地域ごとに事情が大きく異なる。一律の正解があるわけではない。

 

政府は結果責任を取れるのかと言う意見があるが、国民が政府に全てを依存するという姿勢は、少なくとも私は好きではない。政府は政策的な誘導を行ったり、どこかで法的規制を加えたりすることはあるが、その判断が本当に正しかったか、あるいは間違っていたかは、後々それを振り返るまで分からない。

 

結局は、個人個人がどこかの段階で自らの責任において判断せざるを得ない。それが健全な姿だと、私は思っている。旅行に行くのが怖いと思えば止めれば良いし、リスクは小さいと判断すればキャンペーンに乗っかれば良い。それが「With Coronaの時代」の生活である。

 

 

 

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