NHK経営委員の失言騒動—お友達人事の所産
(2014/2/9)
籾井会長の失言騒動—と言うよりも放言騒動—に引き続き、安倍首相のお友達のお二人が問題発言を繰り返したようである。
一昨日の毎日新聞によれば、委員の長谷川三千子氏(埼玉大名誉教授)が、参議院会館で開かれた「戦争反対!女性大集合」と題した集まりに顔を出し、「安倍首相の応援団です」と自己紹介した後、「別の用で議院会館を訪れたら『戦争反対』のタイトルが目に付きました。イデオロギーと歴史観は私の正反対の人が多いと思いますが参加しました」と述べたとのことである。この集会、福島瑞穂(前社民党党首)の呼びかけで開かれた。当然、そこでの討論は「特定秘密保護法の問題」や「所得格差問題」といった安倍政権に対する批判がテーマである。言わば、右寄りの著名人が左翼的な立場を採る人達の集会に顔を出し、喧嘩を売ってきという話である。
この長谷川氏、この件とは別に、右翼団体元幹部が朝日新聞社で拳銃自殺したことを追悼文で礼賛したことで、新聞社との間で一悶着を起こしている。新聞社の側からすれば、言論機関に対するテロ行為の礼賛を黙って聞き流すわけにはいかない。これまた当然の話である。
もうお一方は作家の百田尚樹氏。彼は東京都知事選で田母神候補を応援した際に、南京大虐殺はなかったと発言した。ついでに、田母神氏以外の候補を「人間のくずみたいな奴」と貶したとも伝えられている。これに対して、米国大使館の報道担当官が「責任のある立場の人は、地域の緊張を更に悪化させるような発言を控えるように望む」とコメントを出した。
こんな一連の放言事件に対して、政府とNHKは放送法に違反するものではないとの立場を取っている。建前論はそうでしょう。が、多くの人がそれで納得、とはいかないでしょう。
そもそも、NHKの存在自体が、中立性、公正性という点で議論の矢面に立たされている。そんななか、安倍さんのお友達が経営委員として放言を繰り返すことは、経営をますます難しくするだけで、何も良くならない。お二人、多分、籾井会長を含めてお三方、NHK経営委員が問題発言をしたというより、資質に問題のある人が経営委員になったと考えるべきでしょう。