年金運用収益の損失 (2016/7/30)

 

 

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、729日に昨年度5兆円を超える運用損を出したと発表した。

 

同日の毎日新聞によれば、民進党の山井国会対策委員長代理は、「アベノミクスの『切り札』として株式運用比率を倍増したのが原因で、大事な年金が5兆円も消えてしまった」と批判したという。また、共産党の小池書記局長は、「アベノミクスの株価対策のために国民の大事な年金資金を流用し、株価を買い支えた」と指摘し、「政治的な責任は極めて重大だ。徹底的に追及する必要がある」と述べたという。

 

本当にそうであろうか?

 

GPIFのこれまでの運用成績を見てみよう。どうみても2000年代は、運用で上げた収益の累積額がほとんど横ばいで低迷している。10年掛けて10兆円増えただけである。民主党政権下でも、大して状況は変わらなかった。安倍政権下で、株式投資への比重を上げたこと、そしてアベノミックスによる株価の上昇で収益は急増した(3年間で、30兆円を超える額を稼いだ)。

 

一方、今回の損失を批判した民進党、かつての民主党の時代はどうだっただろうか。収益の累計額で横ばい、つまり増えていなかったのが実態である。

 

安倍政権、正確には第二次安倍政権が発足した20121226日以降、株価は急速に値上がりし、年金の運用収益も順調に、いやいや順調どころか10%前後の運用益を上げてきた。昨年度は、中国の経済成長に陰りが出たこと、さらには英国がEU離脱を決めたことで、世界的に経済の先行きに陰りが出て、株価も落ち込んだ。その結果、5兆円の損失を出したというわけである。しかし、資金運用とは単年度の成果で一喜一憂すべきものではない。グラフを見れば明らかなように、この程度の損失の発生は過去にも経験したとおりである。

 

 大切な年金の資金が政治の具に利用されて、まともな運用が束縛されるようでは、国民はたまらない。野党の批判を恐れて、年金を国債だけで運用するようになれば、そのほうがよほど問題である。日銀が国債を買い支え、年金が同様に買い支える。日本の財政は恐ろしい将来を迎えることになる。

 

 最後にもう一つ、本日の朝日新聞の社説もこの年金損失問題を扱っている。論調はなんとなく野党の主張を支持しており、この部分はちょっと頂けないが、GPIFの組織改革が進んでいないことについては、まあ同意できる。

 

 

 

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