世銀の世界経済見通し (2021/1/5)
本日、世界銀行が世界経済見通しを発表した。これは毎年2回ほど発表している予測の最新版である。
COVID19が世界中で蔓延した昨年、世界経済は推定で前年比▲4.3%の落ち込みとなった。先進国で言えば、ウイルス感染で最も打撃が大きかった欧州は▲7.4%、日本は▲5.3%の落ち込みである。米国も感染状況はひどいが、▲3.6%の落ち込みと先進国の中では経済への打撃は相対的に小さかった。それは、米国の国土の広さと、経済の多様さ、柔軟さ、強さの表れだろう。
一方、ウイルスの発祥地となった中国は、その強権的な対策ゆえに感染からの脱却が早く、経済もいち早く回復した。過去2年間の年率6%を越える経済成長から見れば大幅な落ち込みではあるが、それでもこのパンデミックの中で対前年比2%の成長を確保している。
問題は今年から来年にかけての見通しである。おそらくワクチンがどれだけ行き渡り、その効果が発揮できるかによるが、世銀は経済の回復を予測する。今年2021年は、米国が3.5%、欧州が3.6%、そして日本が2.5%の成長と見ている。とりわけ中国は7.9%の大幅な回復である。
来年2022年は、米国が3.8%、欧州が4.0%、日本が2.3%である。欧米は3%を越える成長を予測しており、パンデミック前の成長率に戻る。一方、日本は2.3%の成長にとどまり、先進国(経済圏)のなかでは最も低い。これは、日本経済の構造そのものに原因があるのだろう。日本の生産性の低さやICT分野における出遅れは、これまでも指摘されてきたとおりである。
そして中国。2022年の成長予測は5.2%である。ある意味、中国も経済が成熟しつつあり、これまでのような6%を超える高い成長は望めない時代に入ってきている。