世銀の世界経済予測アップデート (2020/6/9)
世銀はこの1月に発表した世界経済予測をアップデートした。
当初COVID-19の発生はまだ中国にとどまっていたが、その後世界中に広がるパンデミックとなったことで、世界経済はリーマン崩壊を上回る戦後最大の不況に陥った。これを受け、世銀は経済予測を見直し、今年と来年の経済成長率を大きく下方修正した。
最新版では、世界経済は今年▲5.2%に落ち込むが、来年は回復を示し4.2%の成長に戻ると予測している。ただし、この状況は先進国と中国、さらに先進国の間でも差異が出る。
ユーロ圏は、今年▲9.1%と先進国の中で最大の落ち込みになると見られる。これに対して、米国と日本は共に▲6.9%を予測する。一方、中国はいち早く新型コロナウイルスを押さえ込んでおり、中国にとっては極めて低い数字ながら1.0%と辛うじてプラスを維持する。
来年2021年には、米国が4.0%、ユーロ圏が4.5%の成長率で経済回復を予測するが、日本は2.5%と低い成長率にとどまる。現時点で既に経済回復の兆しを見せいている中国は6.9%の高い成長率を回復する。
日本について言えば、今年▲6.1%の落ち込みがあるので、来年に2.5%の成長があっても、2019年を基準に見れば2021年時点でも未だ3.6%落ち込んでいる。2022年に一気に3.6%の成長があるとは思えないので、2019年の水準に戻るのは2023年以降になろうという話になる。
大きく経済が落ち込む中で、政府はCOVID-19対策として一般会計で約32兆円の補正予算を組み、これを新たな国債で賄う。その結果、今年の新規国債の発行額は90兆円を超え、歳入の56%を国債に依存する事になる。
日本が人口の老齢化と縮小という現実を抱える以上、高い経済成長を取り戻すことはまず期待できない。借金漬けの国家財政をどう立て直すのか、まことに暗い話になりそうである。政府は今回1人あたり10万円の給付金をばらまいたので、ほくほく顔の人もいるが、これはいずれ税金という形で付けが廻ってくる。
国家の借金が対GDP比で既に230%を越えているという現実を見れば、将来起こりうることが税金の大幅値上げなのか、緊縮財政なのか、はたまた突如として現れるハイパーインフレなのか分からないが、いずれどこかで問題が顕在化することだけは確かである。