中曽根元首相の合同葬 (2020/10/19)
中曽根元首相の内閣・自民党合同葬が17日に行われた。葬儀に際して、文部科学省が国立大学82校に弔旗や半旗の掲揚と黙禱を要請したことで、マスコミで議論が持ち上がった。ちなみに、国立大56校が掲揚に応じ、19校は掲揚しないと回答したという。
この問題、例によって行政の教育に対する介入といった観点で議論になったが、そもそも、行政が自民党の元首相の葬儀に関わることが妥当な話なのだろうか。
合同葬には9600万円の公費が出ている。自民党が党葬を行うというのであれば、どうぞご自由にというだけの事である。しかし、税金をそれに充てるとなれば話は別。政府自民党は合同葬の開催はこれまでの慣例と説明するが、今の時代に合っているとは思えない。
自民党が圧倒的な存在で日本の政治を動かして来たのは戦後の高度成長期の話であり、1994年の細川内閣発足でそれも終わった。そして民主党が政権を取ったのが2009年で、3人の首相を出している。
では、自民党以外の首相経験者が亡くなった時も、自民党政権下で合同葬を催し、文科省は国立大学に弔旗を掲げるように通達するのだろうか。
面白いことに、立憲民主党の枝野代表はいつもの勢いとは打って変わり、「進められた政策についてのいろんなご意見はあるにしても、戦後を代表する総理大臣として、こうした形で亡くなった元首相を哀悼することは、私はあっていいことだと思う」と、大変物わかりの良い発言をしている。(朝日新聞デジタル2020年9月29日)
菅内閣は前例主義を打破すると言っているので、これも行政改革の一つとして考え直した方が良かろう。