フィンランド (2023/7/17)

 

 

フィンランドがそれほど日本人に馴染みのある国とは思わないが、ムーミンやマリメッコ、あるいは映画「カモメ食堂」で話題に上った事があり、それなりに親近感を持つ人は多かろう。さらに、世界幸福度ランキングで6年連続して世界第一位となったことで、何やら理想の国と思っている人も多い。

 

私も、仕事で北欧諸国を旅したことはあるが、フィンランドは今回が初めてであった。

 

現地を訪れて受けた第一印象は、僅か550万人ほどの人口で、1人あたりGDPで日本を上回る経済が維持できる生産性の高さである。

 

また、フィンランド人は平和と唱えればそれがタダで手に入るわけではないことも、よく知っている。過去の長い歴史を見れば分かるように、フィンランドはスエーデンとロシアに常に侵略・属国化さえ続けてきた歴史1/がある。国防は重要な政治課題であり、今でも徴兵制がある。国民にとって、国と自由を守ることは、自ら武器を取って戦い、外敵を追い払うことと同義語である。

 

人々の生活様式は極めて簡素、短い夏は日を浴びて屋外で過ごす。ピクニックがその主流であり、至って健全である。半面、8月も後半となれば気温が下がり、秋から春までは夏の白夜とは逆の暗闇に閉じ込められる。そうなると家に籠もる生活が続き、精神的にも落ち込む人が多いという。

 

そんな自然環境と過去の歴史ゆえに、ちょっと人見知りであるが皆が親切で治安も良い。フィンランドのように、夜中に女性が一人歩きできる国は欧州には殆どない。

 

福祉は行き届いており、教育費は無料、18歳未満の医療費も無料、そして老後の心配はしなくてもよい。息子に言わせれば、老後のために貯蓄にあくせくする人はいないという。

 

それ故に世界幸福度ランキングで世界一の座を確保し続けてこられたのだろう。そんな良い面だけを見て、何も知らない日本人は日本の政治をこき下ろすが、そんな単純な話ではない。

 

世界幸福度ランキングは1位であるが、半面、税金は極めて高い。高度な福祉は高い税金で維持される。独身であれば、収入の4割、5割を税金で引かれる。さらに、付加価値税(消費税)は24%2/と、日本の10%など可愛いものである。

 

現地に根付いた人(ここで暮らす外国人)が言うには、単純ではあるが気楽な生活ができることが最大の魅力という。ビジネスで金儲けがしたければ、ニューヨークかロンドンにでも行けば良いというわけだ。厳しい自然環境、高い税率、そして気楽ではあるが簡素な生活が前提であり、日本人だれでもがここで幸せを感じられるとは思わない。少なくとも、東京や大阪のような大都会、ましてや六本木や新宿が大好きな人には向かない。

 

 

 

1/         ロシア帝国から独立したのは、第1次大戦末期のロシア革命の混乱に乗じた1917年である。

2/         標準税率。

 

 

地下鉄は核戦争に備えた防空壕になっている。

たまたま町で出くわした移民達のデモ。彼らは平等な権利を求めていた。

夏至祭りの最中でヘルシンキの人通りは少ない。開いているレストランも限られる。

 

 

 

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