Fascism: A Warning (2018/4/15)

 

 

これはクリントン政権時代に国務長官を務めたマドレン・オルブライトの著書で、国家が如何に独裁に陥っていくかを語っている。といっても、ここで本の紹介をするわけではない。

 

彼女によれば、ファシズム(国家主義・全体主義)とは様々な思想を装う。ある時は、労働者階級の独裁を標榜し、老齢世代にもっと多くの年金をと叫ぶ。また別の場合には、民族、宗教、国家の再生の名の下に権力を握る。ファシスト(国家主義者・全体主義者)とは、国家や集団を声高に強調し、そこに属さない人々の権利を無視する。そのためにはあらゆる手段を使い、そこでは暴力も厭わない。

 

ファシズムは、第二次大戦に至るイタリアのムッソリーニやナチスを率いたヒットラー、あるいは太平洋戦争で日本を滅ぼした帝国軍人の姿を思い起こさせるが、どっこい今の世界でもあちらこちらにはびこっている。

 

ファシズムはある時は右翼思想を装い、ある時は左翼思想を装う。北朝鮮の金正恩はまさにファシズム体制そのものであるが、それに近い政治家はいくらでもあげられる。極めつけのファシストとは言わないが、ロシアのプーチン大統領やトルコのエルドアン大統領がそれに近い。

 

ファシストは独裁者のように振る舞う。政治のリーダーシップと独裁とは全く異なる。民主主義が劣化し、そして破壊していく先には独裁がある。オルブライトは、ドナルド・トランプが歴代で最も反民主主義的な大統領であると言う。異論を排除し、国の安全保障の選択肢を狭め、身内だけで周りを固め、自らの思うがままに国を動かそうとする。まさに今アメリカで起きていることである。

 

翻って日本を見てみよう。今や党内でも逆風が吹き始めた安倍政権であるが、彼は首相の座に着くときには「美しい日本」を口にし、「道徳教育」にご執心であった。そして、森友学園と加計学園の学校設立で身内をえこひいきするというスキャンダルが起きた(これを「cronyism」と呼ぶ)。世の中には、森友学園問題に関しては済んだことであり、国会審議を遅らせるよりも、予算審議や外交問題でもっと重要な審議があるだろうと言う人もいるが、もう一度、民主主義体制とはどうあるべきかをよく考えるべきである。繰り返しになるが、民主主義が劣化し、そして破壊していく先には独裁がある。

 

 

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