ユーロの凋落 (2011/11/28)

 

 

ユーロの為替レートがついに102円まで落ちた。一時は160円ほどであった事を考えると、円に対して、まさに3分の1の価値が吹き飛んだわけである。

 

もう5年ほど前のことになるだろうか、アフリカ行きの便に乗り継ぐため、アムステルダム空港で一泊したことがある。当時がまさに1ユーロがほぼ160円の時代であった。その時泊まった空港ホテルの宿泊費が160ユーロ、当時の円換算で26000円は相当高かった。アムステルダム空港から市内に出るための電車代が600円ほどかかり、東京ならば、せいぜい200円くらいの距離だろうと嘆いたものである。逆に、このユーロ高で、よくも国際競争力が保てるものだと感心した記憶がある。

 

しかし、ギリシャの財政危機が、スペイン、ポルトガル、そしてイタリアへと飛び火し、ついにはフランスの国債金利までが上昇するという状況で、ユーロ経済圏は総崩れとなった。共通通貨としてのユーロが発行したとき、EUの大国である英国だけはこれに加わらなかった。当初は、ポンドに固執することでEU市場における経済的な不利益を指摘されることもあったが、今となっては、金融政策は絶対に手放さないという、英国の判断は正しかったという話になるのだろう。

 

ユーロ圏といっても、強い経済力を持つのはドイツとフランスだけであり、それと同じ景気水準を保つことができるのはベネルクス3国にとどまる。第3位のイタリアを含めて、他の国々の経済成長はとてもドイツにはついて行けない。スペインの若年層の失業率がついに45%に達したというニュースが如実にそれを物語る。ある意味、今回の通貨危機は当然の帰結でもあった(そういえば、ユーロが発行した当時、フィナンシャルタイムスであったか、ビジネスウィークであったか、記憶も定かではないが、「『ユーロ』という名前が『マルク』であったら、魅力的である」という記事が出ていたことを思い出した)。

 

かく言う私は、たまたまアクラの両替屋で、手持ち外貨の中に80ユーロが残っており、これを現地通貨に変えたが、13000円で買った通貨が今や8000円にしかならないと思うと、なにやら切ない(みみっちい話で申し訳ない)。

 

 

 

 

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