江之浦測候所 (2024/10/17)

 

江之浦測候所を知ったのは、たまたま友人夫妻と私ども夫婦で箱根の温泉に行った折に、帰りにどこか行ってみようかという話しが持ち上がり、ここを訪れたことが切っ掛けであった。施設は東海道線の根府川駅から山に上った見晴らしの良いところにある。その時はたまたま休館日で、外から施設を眺めるに過ぎなかった。

 

入口にはまるで武家屋敷のような立派な門があり、そこには一つ鱗紋が描かれた幕が掛かっていた。中には入れなかったものの、脇にあるテラスからは相模湾を望むことが出来た。

 

ここを紹介した友人も、人づて江之浦測候所は一度行ってみる価値があると聞いただけで、そもそもそれが何であるのかよく理解していなかった。さてさて、測候所とは何だ?確か富士山測候所というのがあったな。武家屋敷の門と測候所とは?さては、江戸末期に、この見晴らしの良い場所から、黒船の監視でもしていたのだろうか?などと勝手な話しをしたことを覚えている。

 

後日、カミさんがウェブでこの施設を調べてみると、いわゆるアートギャラリーであることが分かった。ギャラリーというと絵画を想像するが、石舞台、建物、庭園などが広い敷地に広がる建築群で構成されるものと理解すれば分かり易い。冒頭の武家屋敷の門も一つの構成要素である。

 

そもそもこの施設を企画したのは杉本博司という芸術家であり、彼が私財を投じて公益財団法人小田原文化財団を設立し、施設の建設を行ったという*/

 

施設の詳細については、江之浦測候所のウェブをご覧になることをお勧めするが、さわりだけを紹介すれば、夏至と春分・秋分の日にだけ、日の出の瞬間が見られる回廊とトンネルといった趣向が凝らされている。

 

前述の友人ご夫妻と改めてここを訪れた際には、外国の訪問者が目立った。たまたま話しをした上海から来たという女性は建築家であり、この施設を目当てに来たと言う。日本人でも知る人が少ない玄人好みの大人の場所である。

 

入場するには事前の予約が必要であり、入場者の数も制限している。いわゆる観光地の施設に付きものの混雑感は全くない。入場料は事前予約で一人3300円とお安くはないが、それを払う価値は十二分にある。敷地を全て廻れば2時間は優にかかる。

 

 

 

 

*/  案内の方の説明では、この場所は個人の建物の建設が規制されているため、財団を作って彼の構想を実現したという。

 

 

 

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