天皇陛下のお気持ち表明は政治の怠慢の結果である (2016/8/9)

 

 

陛下の生前退位のお気持ちがメディアで報道されたのは先月であったが、すでに5年前からそのお気持ちを宮内庁幹部や周囲に漏らされていたようである。先月、陛下が生前退位の意向をお持ちであるという報道があった直後、麻生副総理は摂政制度に言及した。また、高市総務相も、公務の負担を軽減することを考えなければならないという趣旨の発言をした。

 

しかし、昨日の陛下のお気持ちは、その様な弥縫策をきっぱりと否定するものであった。象徴天皇としての責務を全うするという陛下の責任感とは全く相容れないからである。昨日のお言葉の中で、「これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」とこれを明確にしている。

 

これまでも皇室に関わる様々な議論が時の政府で持ち上がった。小泉政権での女性天皇の考えや、野田政権の女性宮家構想があった。しかし、結局のところ、皇室典範の改正に関わる議論を深めることなく、問題を先送りした。

 

天皇の終身在位は明治憲法が作り出したものである。それに固執し続けることが今の象徴天皇という制度に合うものなのだろうか。天皇の自由意志と人権さえも封じることに、国民は同意しないだろう。

 

多くの国民は天皇を尊敬し、愛している。それは畏敬ではなく、人としての優しさ、暖かみである。決して憲法が定めた天皇の国事行為を見てそれを感じているわけではない。被災者や身体障害者に対して同じ目線で寄り添う姿を目にしてきた結果である。

 

私は、これまで政治が無作為と怠慢を続けた結果、陛下がお言葉と言う形でご自身のお考えを国民に直接伝えざるを得なかったと感じている。

 

 

 

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