老犬 (2019/1/23)

 

 

我が家には、あと2週間もすれば16歳の誕生日を迎える老犬がいる。名前は大(ダイ)という。人間で言えば90歳から100歳に近い年である。犬の寿命は人間の6倍の速さで過ぎ去っていくので、あっという間に飼い主の年齢を超えてしまった。

 

私の子供二人が高校入学とともに寮生活に入り、夫婦二人だけの生活になったことがきっかけで飼い始めた犬である。

 

私は、もし飼うならば柴犬と決めていたので、ペットショップに柴犬を見に行くようになっていた。当時のダイはいわゆる売れ残りで、明らかに他の子犬に比べ大きかった。何やら手足が長く、ヒョロリとした子犬であった。

 

買い取った直後はケージの中に敷いた新聞紙を噛みちぎり、外に出せば家の中のあちこちでオシッコをまき散らすという大変な状況であった。

 

さすがに素人には子犬の躾は難しく、直ぐにトレーニングスクールに預けることになった。1ヵ月間の犬の学費はなかなかの額で、売れ残っていたダイのお値段の2倍と相成った。

 

しかし、さすがにプロのトレーナー、ダイはあっという間に人の言うことを理解するようになった。週末にダイに会いに行き、そこで初めて犬と飼い主のレッスンを受けたとき、お座り、伏せが出来ることを見たのが大変な感激であった。そして排泄も部屋の中でまき散らすことはなく、必ず外でするようになった。

 

犬は賢い。そして、人と同じ生活空間に住むのであれば、教育は絶対に必要であると感じた次第である。まさに人と同じである。

 

朝晩の犬の散歩は飼い主にも生活のリズムを与えてくれる。夏場は直ぐに暑くなるので、朝5時台に出かけ6時過ぎには帰ってくる。5時の早起きは、最初は結構厳しい。人間だけで生活していると、5時起きという人は多くはなかろう。それでも夏の早朝を歩いていれば、心も爽やかになる。

 

振り返れば公園でボール遊びをしたり、材木座の浜を散策したり、楽しい思い出が蘇るが、あっという間に16年近くが過ぎてしまった。

 

今のダイは散歩に連れ出すことは難しく、住んでいるマンションの駐車場をトボトボと廻るか、隣接する公園で排泄するかくらいになってしまった。日中はほとんど寝ており、深夜には徘徊するようにもなった。部屋の隅の隙間に入り込み、そこから戻れなくなることもしばしばである。

 

そんな老犬ではあるが、それでもかわいいものである。子犬も確かにかわいいが、老犬もかわいい。今の状況を見ていると、日に日にその衰えが目に見えてわかる。果たして、後どの程度生きながらえてくれるのか、私にはわからない。

 

 

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