電動化の流れと軽自動車規格 (2020/12/24)

 

 

脱炭素化に向けて、中国、欧州、米国カリフォルニア州など各国においてガソリンや軽油を使った自動車の販売規制の動きが出た事で、日本も2030年代半ばには新車販売を電動車に限定する方針を発表した。世界の動きから見ればそうならざるを得ないだろう。

 

そんな中で、日本独特の規格である軽自動車の取り扱いが問題となってきた。政府は軽自動車についても例外としない方針と述べている。

 

そもそも軽自動車の規格とは、日本独自と言えば格好いいが、私に言わせれば、世界からかけ離れたまことに歪な規格である。それゆえに、昔から日本の自動車市場における非関税障壁として、海外からはしばしば軽自動車の存在がやり玉に上がった。

 

現在の軽自動車規格が出来上がった背景には、昭和30年代に当時の経済産業省が打ち出した国民車構想に基づいて、普通車より安い軽四輪自動車が普及したという事情がある。軽自動車の普及促進策として、税金の優遇のみならず、車検さえも免除された時代があった。それらの優遇処置は時とともに是正されて行ったが、いまだに自治体によっては車庫証明が免除されている。加えて税金と保険料が安いことから、軽自動車を選択するユーザーは多い。ざっと見て、軽自動車は新車市場で4割くらいのシェアを占める。

 

現状で軽自動車の規格は、全長3,400 mm以下、全幅1,480 mm (1.48 m) 、全高2,000 mm (2.00 m)、排気量660 cc以下というガラパゴス仕様である。ゆえに海外で生産・販売しようとすれば、エンジンを大きいものに取り替えたり、車の寸法に手を加えたりしなければ商品にならない、そのように海外向けに手を加えたところで、所詮は新興国向けの商品である。軽自動車は基本設計に無理があり、米国では安全基準を満たすことが出来ない。全ての州ではないものの、公道での走行が禁止されている。

 

今回のガソリン車に対する規制強化の動きは、自動車を巡るこれまでのしがらみを振り払うまさに良い機会である。軽自動車を含めて、日本の制度を一気に見直すべきと、私は思っている。

 

税制で言えば、ガソリンには53.8/ℓ、軽油には32.1/ℓという税金がかかる。しかも40年を超える長きに亘り、本則から上乗せとなる暫定税率が適用されてきた。この税の使途は基本的に道路建設である。さらに、排気量1,000ccを境に500ccごとの区分で高くなる自動車税がかかる。

 

道路財源という考え方であれば、ガソリン、軽油、そして電気との間で格差を付ける根拠はない。排気量で変わる自動車税も、エネルギー消費を基準に考える方が理にかなっている。

 

軽自動車の寸法制限は極めて歪であり、正直、私には軽自動車のデザインが美しいとは思えない。お上が寸法を決めるのではなく、車の大きさなど市場の選択に任せれば良い話である。世界中で小形コミュータの需要はある。欧州では、道路が狭い市街地向けにフィアット500、スマート、ルノートゥインゴといったお洒落な車が走っている。排気量で言えば900ccくらいである。

 

メーカーも、拡大が望めない国内市場に固執して軽自動車にしがみつくより、国際市場で通用する車作りに力を注いだ方が先は明るかろう。

 

 

 

 

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