道東 (2008.9.10)

 

夏のシーズンも終わりの道東に出かけてみた。札幌に行く機会はかなりあるが、道東まで足を伸ばしたのは今回が初めてである。釧路、知床、網走には一度行ってみたいと思っていたが、やっとこさ念願が叶ったというわけである。

 

釧路の秋刀魚

 

子供の頃習った少々危うい社会科の知識をたぐれば、釧路は魚の水揚げ港として有名であり、後背地に湿原を抱える自然に恵まれた土地である。一泊したその夜は、早速今が旬の秋刀魚料理に舌鼓を打った。塩焼きは当然のことながら、新鮮な秋刀魚の刺身は非常に美味である。秋刀魚は決して高級な魚ではないが、私の大好物である。今年は、燃料費の高騰で秋刀魚の値段も上がっており、浜での値段は去年であれば一匹80円ほどであったものが、3倍に値上がりしているとホテルのウェーターが話してくれた。

 

釧路は、いわゆる町興しとして、港に隣接して「フィシャーマンズ ワーフ」なる建物を造った。なかなか洒落たデザインの建物である。中には行政の事務所から土産物店、レストランと様々なものが詰め込まれている。岸壁から眺める景色はなかなかのものであり、ここから見る夕日は絶景という(残念ながら、私が着いた日は土砂降りの雨で、夕日を見る機会を逃してしまった)。

 

この建物の中の立ち食いの店でおもしろい食べ物を見つけた。「さんまんま」と呼ぶ。かなり有名な釧路の郷土料理とのことであるが、実は、私は全くこれを知らなかった。茶飯の上に、ちょうどバッテラのように開いた秋刀魚をのせ、炭火で焼いたものである(写真参照)。釧路を発つ時の昼食に、この店で「さんまんま」と「あら汁」を試してみた。非常に美味しい。最初はかみさんと半分ずつにしようと注文したが、結局おわかりをしてしまった。昨晩に続いて、秋刀魚三昧の二日間であった。

 

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·         釧路フィシャーマンズワーフMOOの中にある「さんまんま」の店。

·         近所のおかみさんたちが開いているような庶民的な店である。写真の向こう側にカウンターがあり、そこで食べることが出来る。

 

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·         これが「さんまんま」。秋刀魚を社飯の上にバッテラのようにのせ、炭火で焼く。

 

北の動物たち

 

釧路湿原では丹頂鶴が保護されている。その昔には本土でも見られたというが、今はこの保護地区くらいしか生息していない。丹頂鶴は一夫一婦制であり、パートナーを一生変えないという。見た目が美しいばかりでなく、このあたりの愛らしさが人の心を引く。

 

次は知床で見かけたエゾシカ。今は繁殖しすぎて、植生を壊し始めている。江戸時代までは、北海道(当時は蝦夷地)には多くのニホンオオカミがいたが、明治に入って開拓が行われると、害獣ということでオオカミは根絶やしにされてしまった。そもそも、自然には生態系があり、食の連鎖の中でそれぞれの種のバランスが取られていた。オオカミを殺したことで、その連鎖の輪が切れ、エゾシカが大繁殖してしまった。今度は、エゾシカが森林を壊す害獣にされてしまったが、それは人間の身勝手が引き起こした結果に過ぎない。

 

そしてついにキタキツネに会うことができた。大雪山を上る車道脇でそれを見つけた。実は、これも人間の身勝手で問題を起こしている。おそらく、車の中から餌をやったのだろう。キタキツネは人を見ると、とりわけ、車の周りに餌を求めて寄ってくる。私が山を下りる翌日の朝、道路脇にキタキツネの死骸が転がっていた。餌をくれると思い近寄っていった車に轢かれたのだろう。

 

私も大自然の中で動物を見ることは大好きである。しかし、絶対に守らなければならないルールがある。餌を与えない、手で直接触らない。人と野生の動物の間には決して超えてはならない一線がある。特に、キタキツネは半分以上がエキノコックス(寄生虫)を持っており、これは人に感染する。

 

 

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·         近くによるとかなり大きな鳥である。羽を伸ばすと2mほどになる。

·         この大きな鳥が空を飛ぶ様子はなかなか壮観である。

 

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·         かつては、この釧路湿原に多くの丹頂鶴が生息していたという。

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·         知床で見つけたエゾシカ。人を怖がらないので、道路脇まで平気で出てくる。

 

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·         眉毛犬。これは飼い犬。

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·         野生だが、餌付けされてしまった結果、人を恐れず近寄ってくる。

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·         口にくわえているのはネズミの死骸。道路に車に轢かれたぺちゃんこのネズミの死骸があり、それを漁ったようである。

 

 

 

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