デジタル庁の引越 (2021/7/28)
今日の朝日新聞の夕刊に、『デジタル庁、膨らむ家賃 1年で2回転居、10倍に 500人体制で「手狭」・「二重払い」状態』と言う記事が載っていた。
その内容をかいつまめば、こんな話になる。
デジタル庁の発足は菅内閣が目玉とする施策の一つである。この9月の発足に向け、母体となる内閣官房IT総合戦略室の陣容が急拡大したことで、一度借りた事務所では床面積が足らず引越を繰り返し、最終的に借りた事務所の家賃が当初と比べて10倍にまで膨れ上がってしまった。
最終的に落ちついた場所は、グランドプリンスホテル赤坂の跡地にできた紀尾井タワーの19、20階。そこは、ヤフーが今年2月まで使っていた事務所であり、設備や内装をそのまま残し、居抜きでデジタル庁が入る。
ここまでは、「ハイそうですか。居抜きの事務所が使えるのは良かったですね。」という程度の話にとどまる。
しかし、よく考えてみれば、ヤフーがこの事務所を撤退した理由は、コロナ禍でテレワークを進めたことで、社員が一つの場所に集まって仕事をする必要が無くなったからある。これこそまさに、デジタル化による働き方改革の見本である。
一方、平井デジタル改革相は、ここに事務所を決めた理由について「国会対応のため永田町に近い必要があり、500人以上が一体的に働ける、ワンフロアの面積が非常に大きいところを探した」と説明する。
民間企業はデジタル化で在宅勤務を進め、さらには脱東京を目指す。それに対してお役所は、デジタル化推進のために職員一同を大部屋に集めなければ、仕事の効率が上がらないと言う。
そもそもデジタル化の意図に鑑みれば、永田町近辺にいなくとも国会対応ができ、かつ職員も一同集まらなくとも仕事ができることを目指すべきではありませんか?
「理念は役所のデジタル化、しかし仕事のやり方は依然アナログ」と言ったら失礼だろうか。