疑問が付いた持続化給付金の事業委託入札の構造 (2020/6/13)
6月に入り、持続化給付金の入札を巡る疑義が国会と新聞を賑わせてくれた。
問題の「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」 なる組織、確かに胡散臭い。
事務所の電話番号がない、一般社団法人に義務付けられている財務報告の公示がない、直近の6月8日の社員総会で辞任した代表理事笠原英一氏が「今回の給付金事業の執行権限はなく、自信の活動にも実態がないお飾りに過ぎない、さらに協議会から報酬も受け取っていない」という趣旨を発言するなど、普通に捉えれば、この協議会、相当怪しげだ。
協議会は6月4日にウェブサイトを早速更新して問題となった3年分の決算書を纏めて掲載したが、問題が明るみになって世間が騒ぎ始めたので、後付けで繕ったということであろう。
この団体、電通が中央官庁から仕事を取るための受け皿とするために設立したと考えざるを得ない。理事9名と監事1名がいるが、肝心の従業員が何人いるか公表されていない。立派な肩書きの理事名は並ぶが、働き手のない、いわゆる業界の「事務局」程度の存在に過ぎないようにしか見えない。
要するに、自らの力で数百億円にも上る事業が実施できる組織ではない。
今回の給付金事業の構造を見ればそれが明らかである。協会は総額769億円で事業を受託するが、うち20億円を抜いて、残り749億円は電通に再委託する。つまり丸投げである。6月9日付け朝日新聞の記事によれば、電通はこれを電通グループ会社に再委託、さらにそこから協会の会員会社に再々委託するという構造になっている。
6月1日付け朝日新聞の報道によれば、協議会はこれまでに経済産業省から14件、総額1600億円に上る事業を受託している。しかもうち7件は協議会だけの単独入札という。事業の実施は、今回の給付金と同様に中抜きして再委託に廻すという構造である。
協会の裏にいる電通は、電通グループで協会という受け皿を通して巨額の委託費を手にする。これはこの上なく「美味しい」事業スキームであると勘ぐられても致し方有るまい。