民進党の将来
(2017/8/26)
民進党の代表選で前原氏と枝野氏が出馬した。ともに政治家として手腕のある人達だとは思うが、果たして民進党を再生できるのかと言う点で私は難しいと思っている。前倒しの解散がなければ来年は衆議院選挙の年であるが、民進党が勝利するとはとても思えない。
民進党は過去の失敗を克服できないまま、没落し続けた。いまや政党としてのビジョンが全く描けていない。多分、彼らはビジョンをあるというのだろうが、多くの有権者にとって共感が得られるものになっていない。
安保問題と消費税問題のいずれを取っても、私には前原氏と枝野氏の発言は上滑りとしかみえない。
両氏ともに、憲法9条の第1項と第2項を残したまま自衛隊を明記するという安倍首相の提案に反対の立場を取っている。
それはそれでよいが、では日本の安全保障をどうするのか、日米安保をどうするのか、安保条約を破棄するのか、もし破棄するのであれば国防をどうするのか、社民党のように平和国家ですと言って一切の武力を放棄すれば、それで日本の平和が守れると考えているのか、まったく明確にしていない。
自衛隊について、社民党や共産党のような立場を取るのであれば、自らの立場を明確して、具体策を示すべきだろう。残念ながら、両氏とも根本的な議論は全て棚上げしたままである(明確にすれば党内の意見がまとまるはずがない)。
消費税についても、長期的に税の値上げはありうるといっているものの、当面上げるべきではないという。取りあえず目先だけを見て、問題を先送りしようとしている。
しかし、税金の問題はもう待ったなしである。民進党は欧州型の社会民主主義を目指したいようであるが、欧州の付加価値税は概ね20%である。国民への負担は求めないが、社会保障は追求するなどという話はない。
大企業はたっぷりと内部留保を抱えているのだから、企業から税金を取ればよいと言いたいのであろうが、それは必ず雇用問題に跳ね返ってくる。
民主党はみんなで支え合う社会の形成と言うが、それは経済が縮小する中でみんなが貧しさを分かち合ってゆこうと言っているに過ぎない。
年金を確定させた年寄り世代には美しい話であり、支えて頂いたまま逃げ切れるとお考えのようであるが、その年寄り達を支えている若い現役世代にとっては暗黒の未来しかない。若者が迎える将来の姿は、もはや蓄えを使い尽くした貧しさだけが残った社会である。経済成長がなくなれば、失業率が跳ね上がるというのは経済の常識である。
ところで、今日の朝日新聞に自民党の石破氏へのインタビューが掲載されている。記者が、石破氏がブログで民進党代表選に触れて「解党含みで今後推移する」と書いているが、と問い掛けたことに対して、石破氏は次のように答えている。
「自民党も右から左までいるが、一つの枠におさまる。だが、民進党は広すぎる。右はひょっとすると自民党より右、左はほとんど共産党。『反自民』『非自民』で一時成功を収めても決して持続可能ではない」
石破氏の洞察はまさに今の民進党が抱える問題点の正鵠を得ている。かつて民主党が政権を取ったときには、反自民票を集めて地滑り的な勝利に繋がったが、政権を取ったものの結局は期待外れで終わった。反自民を支える有権者は多いが、彼らが民進党を支持すると思ったら大きな間違いである。