ダッカ・テロ事件での彼我の政治家の差 (2016/7/4)

 

 

一昨日、ダッカで起きたイスラム過激派によるレストラン襲撃事件で、日本人7名を含む20名が殺害された。そして、この事件は日本中を震撼させた。私がマスコミを通して知る限りの情報では、日本政府の対応は比較的素早かったと思う。政府は、3日夜に被害者の家族と政府関係者を乗せた政府専用機をダッカに向けて出発させた。

 

一方、野党の政治家の発言には少々見過ごせないものがあった。現在、参議院選の真っ只中とあって、野党はこのテロ事件を選挙戦に利用した。今朝の朝日新聞によれば、共産党の志位委員長と民進党の岡田代表は、自民党の菅官房長官が官邸を不在にしたことを挙げて、政府は危機管理に欠けると非難した。一見、まともそうな発言であるが、本音は選挙のネガティブキャンペーンにこの事件を使ったと考えるのが妥当だろう。

 

少なくとも、政府は3日の朝、首相官邸で国家安全保障会議を開き、それなりの対応を取っている。また、安倍首相は記者団に対して、「痛恨の極みだ。許し難いテロで、強い憤りを覚える」 と改めて事件を非難するコメントを出している。現地に政府専用機を飛ばすまでの段取りも、迅速であったと思う。

 

私は、今回のテロ事件は文明同士の葛藤が根底にあると思っている。イスラム過激派にとって、彼らの教義に従わないものは全て敵であり、近代文明に染まった社会は破壊すべきもの、である。この点で、彼らの目には、欧米も日本も同じ敵である。日本人の多くは、「我々は平和主義者であり、あなた方の敵ではない」と言えば、和解できると思っているが、それはない。イスラム過激派が受け入れる唯一の条件は、彼らの教義に従って改宗し、屈服することだけである。それは、イラク北部のヤジディ教徒が過去2年間に受けた凄惨な事実がそれを物語っている。男達は皆殺害され、6000人の女子供は奴隷となった。

 

もう一度繰り返そう。イスラム過激派の主張は、「汝、屈服か、それとも死か」だけである。

 

さて、今回のテロ事件での彼我の政治家の対応の差である。9人の死者を出したイタリアのレンツィ首相は、「(イスラム国を)容赦なく壊滅させなければならない」と、テレビのインタビューに答えた(朝日新聞デジタル74日)。さて、事件を選挙戦に利用した志位委員長と岡田代表が今回のテロ事件についてどのようなコメントを出したのだろうか。そもそも非難声明を出したのか、出さなかったのかさえも、私は寡聞にして知らない。

 

 

 

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