入国審査デジタル化のお粗末 (2023/3/13)

 

 

日本の出入国審査もそこそこDX化が進んできたが、それでも利用者側から見れば、まだまだの出来でしかない。

 

出国時は旅券の自動読み取りと本人確認が自動で可能となり、かなり省力化が進んだので、これは諸外国と比べても恥ずかしくない水準にあると思う。

 

しかし、帰国時の手続きがまだまだお粗末である。利用者には二つの関門がある。一つは検疫としてのコロナ感染のチェックがある。既にほとんどの国からの入国はノーチェックになっているが、中国・香港経由で入国する場合は、まだワクチン証明が求められる。この事前確認は、以前はスマートフォンのアプリ「MySOS」で出来たが、今はここから切り離されてしまいウェブのVisit Japanで登録するしかない。

 

今回の出張でそれは知っていたので、PCから手続を済ませたが、成田空港に着くや、スマートフォンを出して下さいと求められた。いや、ちょっと待てよ、登録に際してパスワードが掛かっているので、スマートフォンでは直ぐに繋がらない。というわけで鞄からPCを取り出して、ごそごそやるしかなくなった。

 

ドタバタしている間に順番が回り席についたら、検査員からVisit Japanの確認が出来ずとも、ワクチン証明を提示すればよいと言われた。そんな話ならば、端からワクチン接種証明を用意してくれで済むし、そもそも「MySOS」を使えなくする必要も無かろうにと文句も言いたくなる。

 

もう一つの難関が通関検査である。これは管轄する役所が違うので別の「税関アプリ」で入力する。これで楽に検査を通れると思いきや、そうは問屋が卸してくれない。アプリを使う検査場は数十メートルに渡って長蛇の列が出来ている。これはたまらんというわけで、急いで手書きの申告書を取りに戻り、係官がいるカウンターに並ぶ。どーって事は無い、こちらは23人待ちの列である。

 

確か、去年10月に帰国した際も同じであった。なまじ自動処理を選んだために手続が手間取り、人手の方が遙かに早かった。要は機械のために、人間があれやこれやと作業するのである。

 

一見DX化が進んだようであるが、利用者の側からすれば全く便利になっていない。一番の理由は、入国審査は法務省、検疫は厚労省、税関は財務省と縦割りで、お役所には必要書類をオールインワンで纏めたポータルサイトを準備しようなどという発想はない。

 

この点でシンガポールは日本の遙かに先を行っている。ビザの発行、入国審査書類の記入、ワクチン証明の取得と、入出国に必要な書類は「MyICA Mobile」というアプリさえ入れておけば、必要な手続と書類にたどり着ける。

 

日本もデジタル庁を作って政府のDX化を進めようとしているが、どう見ても使い勝手がよくない。要は、日本には経験もIT人材も乏しいからに他ならない。この手のシステム作りは思い切ってアップルや、グーグル、アマゾンに外注した方がよっぽど良いものが出来るだろうに。

 

 

 

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