デジタルトランスフォーメーション(DX)について行けない学校教育 (2021/4/29)

 

 

日本企業がいかにデジタル化で世界に後れを取っていたか、このコロナ禍で思い知らされた。そんなわけで、多くの企業がDXに舵を切った。

 

ちなみにDXとは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」というのがそもそもの概念であり、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したという(https://www.softbank.jp/biz/future_stride/entry/column/20200226/)。今から17年も前に出た話というのは、ちょっと驚きである。

 

さて現在、DXは企業のIT戦略の中で捉えられることが一般的であろう。経済産業省のDX推進ガイドラインの定義に従えば、「ITの活用を通じて、ビジネスモデルや組織を変革し、企業の競争優位性を確立すること」、くらいに言い換えることができる。

 

ところが、学校教育の場となると、全くDXについて行けない。一昨日の朝日新聞にこんな記事があった。「デジタル教科書に賛否 目立つ論重論 文科省パブコメ公表」。要は紙の教科書をデジタル媒体に変えることについて、慎重な意見(と言うよりも反対意見)が結構多いというものである。

 

例えば、「学習効果が上がる科学的根拠がない。読解力低下につながる可能性がある」という。いやはや、何を言い出すのかと思うのは、私だけではあるまい。

 

科学的根拠がないというが、ビジネスの世界では、今やペーパーレスは当たり前である。そもそも紙が主体であったデスクワークがパソコンに置き換わったのはもう30年以上の前の話である。読解力低下に繋がる可能性など、どこから出た話なのか、私は寡聞にして知らない。余談ながら、私は新聞を取るが、紙ではなくデジタル版を購読する。本もほとんどがキンドルに置き換わってしまった。

 

こんな反対意見を言っているのは、ICTの世界から置いてきぼりを食らった老人達なのだろうか(老人の愚痴にも見える)?今どき、スマートフォーンを持っていない若者は少数派だろう。若い人達にとって、ICTは日常生活に欠かせない道具である。

 

もう一つ、こんなのもあった。「視力や睡眠、脳への影響が懸念され、慎重に議論すべきだ」。確かにモニターを見続けることで、目が疲労しやすくなるが、定期的に目を休めれば済む話である。そう言えば、移動体通信(懐かしい言葉です。要は携帯電話)が浸透し始めた当時、「電波による脳への影響が懸念される」と言っていた人達が結構いましたね。

 

私が言いたいのは、「この手の反対論は、ICTについて行けなくなった人達が何やら訳のわからんことを呟いている、としか見えない」ということである。

 

米国で教育分野に積極的にパソコンが導入され始めたのは1990年代前半だったと記憶する。とりわけ、ウインドウズPCとの市場競争に負けたアップルが積極的に開拓した分野である。そして、そんな教育環境で育った若者がGAFAを頂点とするデジタル産業を作り上げた。一方、日本のICTの立ち位置はと言えば、米国は愚か、中国や韓国からも突き放されてしまった。

 

20年、30年後の日本が、アジアの中で断トツのICT後進国になっていないことを祈ります。

 

 

 

 

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