民主党の混乱 (2010.9.1)
9月14日に予定する民主党代表選を巡って、混乱が続いている。
小沢氏は、依然として首相の地位を手に入れる野心を捨てていないし、彼の政策主張は菅首相とは相容れない。そもそも、民主党自体が右から左までの寄せ集めであり、党として一体化していないことは今に始まったことではない。
この日本の政治の混迷を海外はどう見ているのだろうか。フィナンシャルタイムの記事は結構面白い。彼らの目には、現在の日本には、政治が国を引っ張っていく力はない、と映っている。ちなみに8月下旬頃からの記事を拾ってみると、次のようなものがある。
8月24日版 「首相のリーダーシップが危ない (Japan’s PM faces leadership threat)」
小沢氏が民主党内に起きている溝をさらに深くする、つまり党を二分することになると見ている。彼が菅首相に対抗することで、さらに政治的な麻痺状態を生ずるという見解である。とりわけ、小沢氏の言動から、政治家としては、どうも問題が多いという分析である。
ちなみに、小沢発言を次のように引用している。「私は、米国は好きだが、彼らは単細胞である (I like America but they’re somewhat like single-celled organism. (August 2010))」、「私は、米国を全く信用していない。日本の利益を守るために、はっきり言うべきだ (I do not trust the US at all. We have to speak out to protect Japan’s national interest. (February 2009))」
8月29日版 「日本のためにはその人じゃない (The wrong man for Japan)」
結構、極めつけの見出しである。日本の首相が非常に不安定な存在で、「この1年間で3人目の」菅首相という書き出しである。海外の目からは、ドンキホーテ的で破壊的な小沢氏が、日本の政治をさらに混乱させるという分析である。
8月31日版 「与党はリーダーシップ二分の危険 (Japan ruling party risks leadership split)」
これも、強烈である。「小沢氏は、過去4年間で5人目となる菅首相を、蹴落とすつもりだ」。これだけ落ち込んだ日本経済をほったらかしにして、民主党は内輪もめを続けている、というものである。
さてさて、ここにあげたフィナンシャルタイムスの見方が海外の認識を代表しているとは言わないが、日本の政治がリーダーシップを全く発揮できていないという点については、海外の共通した見方であろう。
この1年の間に首相の首が3回すげ替わり、9月の代表選では、またもや次の首相が出てくるかもしれない。そうなれば、先進国のなかで、日本だけが存在感のない国、というよりも無視される国となる。米国にしても、中国にしても、半年先には、いるのかいないのか分からない首相を相手に、まともな話し合いができるはずもない。