シリア アサド政権の崩壊 (2024/12/10)

 

 

反政府勢力が北部の都市アレッポを落としたのが1130日、それから僅か一週間ほどでバシャール・アル・アサドはロシアに亡命し、60年にわたる独裁政権が崩壊した。余りにもあっけない独裁政権の終わりであった。

 

現在の反政府勢力は大きく四つで構成される。最大勢力のシャーム解放機構(HTS1/)はトルコの支援を受け、過去数年間にわたって北西部を支配してきた。北部と東部はクルド族勢力、南部はヨルダンが支援する勢力、西部はアサドに忠誠を示すアラウィー派2/が押さえる。

 

シリアの将来は、これら反政府勢力が国の再建に向かって協調できるかどうかに掛かっている。それに失敗すれば内戦に陥る。決して簡単なことではない。

 

HTSを率いるアブ・モハメド・アルジョラーニは、元アルカイーダ司令官であり、米国、ロシア、そして国連は彼をテロリスト、HTSをテロリストグループと見做す。もし、彼がシリアの次の政権を握ることになれば状況は複雑になる。反対する勢力の中には、アサドの独裁からアルジョラーニの独裁に変わるだけと見る者がいる。

 

既に問題は起きている。北東部のクルド族は石油地帯と農業地帯を取り戻し、彼らの自治を守るために、トルコが支援する勢力と争いを始めている。地中海に面する山岳部に住むアラウィー派は、多数を占めるスンニ派と争うのかあるいは従うかの選択を迫られる。

 

現状でシリアが平和裏に次の政権を樹立できる保証はなく、もし失敗すれば中東情勢はさらなる混迷に陥る。フセイン政権崩壊後のイラク、カダフィー政権後のリビアの情勢がどうなったか、それを教えてくれる。

 

 

 

 

 

1/     Hayat Tahrir al-Sham 元イスラム過激派(旧ヌスラ戦線)であり、現在はアルカイーダとは関係を断ったと主張する。

2/     Alawite シーア派の一分派であり、アサド政権との関係が深い。

 

 

 

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