新型コロナウイルスが及ぼす世界経済への影響 (2020/3/3)

 

 

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が深刻になってきた。新たな感染者が毎日のように発表され、その数がついに1000人(クルーズ船を含む)を超えた。感染拡大防止策として、今週から一部の地域を除いて全国の小中学校が臨時休校に入った。

 

私の住んでいる地域でも、鎌倉市内のヨガ教室で感染者が見つかり、そこに市職員も通っていたことから、大騒ぎとなった。

 

市役所ではヨガ教室に関わった職員53名が自宅待機、学校が臨時休校になったあおりを受けて欠勤することになった職員が144名、さらには緊急性と重要性から一部の業務を縮小したことで出勤の必要がなくなった職員を合わせて合計300名ほどが出勤できなくなると発表した。

 

こんな湘南の田舎でまさか騒ぎが起きるとは思ってもいなかった。現状では、感染拡大の防止に向こう数週間で目処が付くとはとても考えられない。個人として出来ることと言えば、人混みを避け、感染のリスクを下げつつ、日々の生活を送るしかない。

 

当然、日本中がそんな状況になれば、経済への影響は出て来る。というよりも既に影響が出ている。

 

新聞やメディアの情報によれば、飲食業やデパートの売上は明確に落ちているという。製造業でも中国からのサプライチェーンが切れたことで、国内での工場の稼働に支障が出ている。これは、2011年にタイが洪水に見舞われ、部品の共有が途絶えたことで自動車産業に大きな影響が出たことを思い出させる。

 

そんな中、昨日、経済協力開発機構(OECD)はコロナウイルスの蔓延が世界経済に及ぼす影響をシミュレーションした経済予測を発表した(正確には毎年行っている経済予測の修正版である)。

 

見通しでは、今年の世界経済の伸び率はベースシナリオで昨年より0.5ポイント低い2.4%に落ち込む。もし下振れするシナリオを辿ることになれば、0.5ポイントの下落ではなく、1.5ポイントの落ち込みに拡大する。

 

経済減速の震源は言うまでもなく中国であるが、中国と密接な繋がりがある日本、韓国、豪州といった国々も大きな影響を受ける。

 

日本の今年の経済成長率は年率0.2%にとどまるものと見ている。先進7カ国の中で、イタリアを除けばこれは最も低い数字である。

 

一方、北米と欧州は日本ほど中国経済との繋がりが強くないことから、影響は小さい。 米国の今年の経済成長率は1.9%、カナダは1.3%である。欧州では、英国が今年は0.8%、フランスが0.9%、ドイツが0.3%の伸びである。ドイツは日本並みに低いが、昨年時点の成長率が0.6%と既に落ち込んでいたことが影響している。

 

中国はといえば、今年の経済成長は5%を切ると見られる。先進国から見れば羨ましいほどの数字であるが、中国政府にとってこれは政治的に大きな不安定要因になりかねない。

 

いずれにせよ、今回のコロナウイルスの蔓延が世界経済に及ぼす影響は極めて大きい。かつ、現状でその終息見通しが全く立たないことが経済の先行きの不確定性を高めている。

 

 

 

 

 

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