弱気の国、強気の国 (2011/2/8

 

 

弱気の国、強気の国。別に他人事の話ではない。日本と中国のことである。

 

慢性的なデフレと巨大な財政赤字、老齢化社会という現状から、日本はうつむき加減の社会になってしまった。加えて、GDPで中国に抜かれ、世界第二の経済大国の地位を失ったことで、ますます弱気が漂っている。一方、中国は依然として二桁に近い経済成長を謳歌し、強気、強気である。中国からは、「日本人は我々の成長を妬んでいるのだろう」といった声すら聞こえてくる。

 

表面的には両極端となってしまったアジアの二国であるが、話はそう簡単でもない。そもそもGDPだけの話であれば、中国の人口は日本の10 倍あるのだから、総生産で抜かれても不思議ではない。一人当たりGDPでいえば、未だに日本の十分の一である。

 

むしろ両国が抱える本質的な問題に目を向けた方がよい。うつむき加減と急成長の二つの国ではあるが、それぞれが抱える問題は相当に深刻である。

 

まずは日本。今更、言うまでもなく、大きな問題は20年に及ぶデフレの進行とDGP2倍に及ぶ財政赤字、極めつけは、それを抜本的に解決できない政治情勢である。つまり、税制や自由貿易協定を含めて、まともに社会・経済構造改革の話ができない。日本人の多くが内向きになってしまった。改革という言葉は、「小泉改革が所得格差を拡大した。これを正し、平等に戻せば皆が幸せになれる」という声に押されがちである。

 

その一方で、優良企業はますますグローバル化を進めていく。大卒の就職状況が超氷河期であるといわれるが、経団連のアンケート結果についての新聞記事を見ると、企業が求める人材と学生の資質にかなり開きが出ている。とりわけ、学力不足と独創性のなさを指摘している。その結果、企業は応募人数に達していなくとも、無理に人は採らないということになる。それどころか、採用対象に国籍を求めず、日本人の採用を減らしても、能力のある外国人を採用する企業がどんどん出てきている。企業としても、これ以上、政府の優柔不断さには付き合っていられないということである。

 

これに対して中国はといえば、国全体としてはよいが、内部の歪みが大きく出て来ていている。一番大きな問題は貧富の差の拡大である。2010年前半での一人当たりGDPは、都市部の2,965ドルに対して、地方部は935ドルとかなり低い。中国の貧富の格差は、フィリピンやロシアに近くなっている。上位10%の都市部の富裕層の収入は、下位10%の貧困層の23倍ある。その原因は、農村部の住民は都市部の住民が受けている教育、厚生、福祉といった社会的な利益を得ようとしても、居住場所(戸籍)の移動が許されないことにある。結局、田舎から出てきた労働者は低賃金でこき使われ、わずかな収入から将来に備えて貯蓄をしなければならない。(Blooming Bossiness Week, Jan. 31 Feb. 6, 2011

 

上記で引用したビジネスウィークの記事によれば、表に出ない経済、つまり民間ならば仕事でのキックッバック、官庁や公企業であれば住宅補助のような特権があり、それが14,000億ドルに上るという。それを含めると、上位10%と下位10%の格差は23倍どころか65倍に跳ね上がるという。現状では国全体が右肩上がりで伸びているので、貧富の格差問題があっても社会はまだ収まっている。しかし、このところの急激なインフレ、とりわけ食料や住宅費の値上がりに、貧しい庶民の不満が破裂することになると、政治的な安定を失い、社会が混乱する可能性を内在している。

 

さてさて、両国ともに問題含みである。中国の話は彼らの問題として、日本は思い切って改革路線に舵を切らないと、徐々に世界の動きから落ちこぼれていってしまう。

 

 

 

 

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