政府予算と金銭感覚 (2016/10/6)

 

 

政府の予算に関わるお話し。

 

東工大の大隅栄誉教授のノーベル賞受賞は率直に嬉しい話であった。その一方、基礎研究に対する国の財政支援はお寒い限りである。大隅教授は、朝日新聞のインタビューで、賞金(約9500万円)をもとに企業などからの協力も得て、奨学金や研究費を少なくとも2030年は提供する仕組みをつくる考えを持っていると述べた(朝日新聞2016.10.5)。

 

確かに大学に対する国の予算は年々減ってきた。2014年度の国立大学法人に対する運営費交付金は約11000億円で、この10年間に約1割削減された。これを86の大学で分け合っている。学生の研究者離れは深刻であり、発表論文数も減ってきている。大隅教授の言を借りれば、「次から次へと(ノーベル賞をとるような)若い人が生まれてくる体制をつくってくれないと、日本の科学は空洞化する」というわけである。

 

話は変わって、昨日の参議院予算委員会の場。民進党の連坊代表は稲田防衛大臣に対して、稲田氏が月刊誌「正論」(20113月号)で「子ども手当分を防衛費にそっくり回せば、軍事費の国際水準に近づきます」と発言したことを追求した。とこころで、子供予算は幾らくらいなのだろう。ちょっと調べてみたら、平成28年度の予算案は6005億円である。

 

うーん、大学の運営費が11000億円。子供予算は6005億円ですか。国の財政赤字の中で、予算配分も厳しい。

 

またまた、話は変わって、2020年東京オリンピックの予算。当初の7300億円が3兆円にまで跳ね上がりそうと言う。小池都知事は三つの施設建設の中止を含めて、予算を削減する意向を示した。これに対して大会組織委員会の森会長のご意見は、既に決まったことをひっくり返すな。つまり、3兆円だろうが何だろうが金を出せと曰っている(彼の立場では金を使わせろということだろうか?)。

 

東京がリオと同じ日程になるのかどうかは知らないが、リオの場合はオリンピックが開会式から閉会式まで17日間、パラリンピックが12日間であった。両方通算しても、1ヵ月である。

 

森さんは、1ヵ月のお祭りに(五輪の祭典と言うから、きっとお祭りなのでしょう)、ケチケチせずに3兆円くらい出してやれという。その一方で、将来を担う人の育成と教育・研究予算は、両方合わせてお祭り予算の6割、17000億円ですか。何やら金銭感覚がずれている。

 

 

 

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