OECDの生活満足度調査 (2011/5/29)

 

 

この524日に、OECDが「より良い暮らし指標」を発表した。生活満足度を様々な指標で計った調査の結果である。

 

この調査でも、ご多分に漏れず、日本人の生活満足度は低く、OECD34カ国の中で下から9番目となった。日本人の何事も悲観的に見るという傾向が、ここでも表れている。自分の生活に満足と答えたのは40%にすぎない。

 

所得水準が必ずしも生活満足度に一致するわけではない、とはよく言われることであるが、この調査はOECD加盟国が対象なので、各国間の所得水準に格段の格差があるわけではない。若干の例外はあるが、生活満足度が日本より高い国の家計所得水準は概ね2万ドルから3万ドルの間に収まる。

 

満足度の高い国は北欧諸国が占めており、これに大洋州の2カ国、つまりオーストラリアとニュージーランドが加わる。北欧は高い税金がよく議論の的となるが、国民が生活を楽しんでいるという意味で、これは頷ける結果である。この生活を楽しむという点で、家計所得水準が2万ドルから3万ドルのレンジに届かないメキシコとチリの満足度が日本より高いのは面白い。ラテン的に人生を楽しむという気質がその結果に表れているのだろう。

 

ドイツとフランスは、わりと日本に近いのかもしれない。いずれも工業国であり、所得もOECD加盟国の中でそこそこの水準にあり、かつ社会も安定しているが、生活に満足と答えているのは半分にとどまり、OECD34カ国の平均を下回る。

 

日本の満足度は、両国をさらに下回る。日本では経済の停滞や社会の老齢化を問題にするが、米国や欧州も経済問題や社会問題を同様に抱えている。物事に楽観的にならないことは向上心につながる、とも言えるが、あまり悲観的すぎるのも考え物である。下手をすると、社会の風潮が「どうでもいいや」と投げやりになってしまう。

 

 

 

 

国別の分析の中で気になるのは、日本では、コミュニティとの繋がりが希薄になっている点であろう。調査結果では、『日本国民の 15%近くが社会的環境の中で友人や同僚などと共に時間を過ごすことが「ほとんど」もしくは「まったく」ないと回答しており、この値はOECD諸国の中で最も高い』と出ている。つまりは、日本人が閉じこもりがちになってきているということか。

 

年寄りが「外の出るのがおっくう」というのは分かるが、若い人が閉じこもるというのでは、社会の活力がなくなってしまう。人とつながるからこそ、社会なのだから。

 

 

 

 

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