オリンピックの本質――ぼったくり男爵 (2021/5/11)
東京オリンピック開催を巡って、世の中の風当たりはますます厳しくなっている。
昨日の国会集中審議では、野党がオリンピック開催の可否を質問したの対して、菅首相は気色ばんだものの、明確な答弁は出来ないという事態になった。確かに、感染爆発下でもオリンピックをやるのかと問われても、「はい、やります」とは答えられない。かと言って、「中止します」とは、なおのこと言えるわけがない。菅首相、内心ではバッハ会長が中止すると言ってくれないか、と思っているのかも知れない。
今朝の朝日新聞が、そのIOCがこの状況に至ってもなぜ開催に突き進むのかという本音の部分を記事に取り上げていた。最大の要因はもちろんカネである。IOCは米NBCと76億5000万ドル(約7780億円)の契約を結んでいる。中止すれば、この巨額のカネを放映権者に払い戻さなければならない。
一方、先週のことである。ワシントンポストのコラムがIOCのバッハ会長を「ぼったくり男爵(Baron Von Ripper-off)」とこき下ろした————IOCは、開催都市にあらゆる負担を押し付けて、巨額のカネを手にして去って行く。
招致契約書の中には、招致都市が提供すべき医療サービスが記述されている。医療崩壊が叫ばれている今の状態であっても、東京都はオリンピック関係者に対して、無償、かつ直ぐに利用できる専用の病室を提供しなければならない。
このコラムニストは、今こそ日本の指導者は自らの国と国民にとって最善の判断をすべき、と主張した。つまり、日本はこれ以上の損失を止めて、「東京ではなく、どこか他を食い物にしろ」とIOCに言ってやれ、というわけである。
昨日の国会で、菅首相がそのように答弁したら、間違いなく野党にも受けたであろう。