『メガバンク銀行員ぐだぐだ日記』 目黒冬弥 202210月 三五館シンシャ

 

 

作者がウェブに掲載していた書き物が面白く、この本を手にした。タイトルからおよそ想像できるように、内容は30年ほどメガバンクで働き、定年近くとなった銀行員が、サラリーマンとしての悲哀もあれば、それでもどこか満足もあった己の半生を書き下ろした随筆である。

 

金融マン、とりわけ銀行員とは世間的にはエリートと見られ、給与水準も高く、サラリーマンとして安定した人生が送れると思われている。私も、昔は何となくそんなイメージを抱いていたことがある。

 

しかし銀行とは、軍隊の如き上下関係のもとで、他人を踏み台にしてものし上がってやろうという競争心がなければ、とても出世はおぼつかないようである。そんな話しはどこの業界にも転がっているが、なまじ金融という規制業種であるだけに、厳格な規則とガチガチの管理という点で、銀行の右に出るものは少なかろう。

 

もう30年近くも前の話しになってしまうが、プロジェクトでたまたま大学の先生と仕事をする機会があった。いろいろと身の上話をする中で、彼が大手銀行から国際機関に転職し、その後大学で教えるに至った経歴を聞かされた。彼が銀行を辞めた理由は、管理が余りにも硬直的で、昼休みに外へ食事に出ることすら制限される、そんな組織に嫌気が差したというものであった。

 

それを聞いた私は、一見、社会的にステータスが高い銀行員の世界とは、そのイメージとは裏腹な実情があるものかと妙に納得し、私にはとても務まらない世界だとも思った次第である。

 

少々話しが脇道に逸れてしまったが、この本、200頁程度の軽い文章なので、理屈など考えずに、面白く流し読みするには手頃である。

 

 

 

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