銀座泰明小学校、アルマーニ制服のひと騒動 (2018/2/12)
銀座の泰明小学校が制服を来年度からアルマーニがデザインしたものに変更することを決めた、という話がマスコミを賑わせた(正確には着用を強制するものではない標準服であり、制服ではないが、実態として皆が着用しているとのことである)。
騒ぎになった理由は二つある。一つはアルマーニ製の制服が一式揃えると9万円ほどかかり、これまでの服に比べ2.5倍のお値段になることにある。もう一つは、和田利次校長が独断で、児童の保護者との相談は一切ないまま、制服の変更を勝手に決めてしまったことである。
マスコミがこの話を取り上げたことで、この校長先生、区役所で記者会見を開き、弁明するはめとなったが、その説明、まことに歯切れが悪かった。まず、なぜアルマーニを選んだのかという理由について、銀座にある泰明小学校らしさを具現化するためにブランドを採用したと答えた。そしてその余りにも値段が高いことについては、「子供達が高価なものを扱えば、所作もよくなる」と答えた。
その程度の言い訳であるから、ますます批判の声も高まる。いわずもがな、高価なものを与えなければ、ものが大切に出来ないのか、しつけも出来ないのかという意見はごもっともである。
この話を聞いて、私が感じたのは、アルマーニがどうのこうのという前に、この校長先生、社会人として、教育者として組織の長を務めるだけの資質があったのだろうかという大いなる疑問である。小学校長にそれほど大きな権限があるとは思わないが、誰にも相談することなく、さらには保護者との相談もないまま勝手に事を進めたという、組織人としては考えられない行動の幼稚さと、危機管理のなさである。
ちょっと頭を使えば、今回の様な騒動に発展することは容易に想像できる。ご当人は、まさかこんな騒動になるとは、ついぞ思っていなかったのだろう。であるが故に、記者会見を開かざるを得なくなっても、前述のような歯切れの悪い説明しか出来ない。
小学校としてのアイデンティティの具現化についても、和田校長の発想には幼稚さが付きまとう。彼はアルマーニをブランドとして痛く気に入っており、それが泰明小学校のステータスを向上させると信じている。
申し訳ないが、私はアルマーニという名前を聞くと、今から30年前のバブル時代の騒ぎしか思い浮かばない。
あの当時、猫も杓子もブランドをまとうことがステータスだと思い、男どもの間では、だぶだぶのアルマーニを着て、腕にはローレックスをはめることが流行った。そうすることで、俺様は一流なんだという自己満足感を得ていたのだろう。女性もそうであった。グッチだ、フェラガモだ、エルメスだとブランドを追い求めた。しかし、そんな時代もそれほど長くは続かなかった。アルマーニで言えば、キャバクラの客引きはもとより、ティッシュ配りのお兄さんまでが着るようになり、一気に飽きられ、いつの間にか廃れてしまった。
そしてあれから30年。まさか東京の公立小学校でアルマーニが復活するとは思わなかった。