バイデンに替わる民主党大統領候補 (2024/7/5)

 

 

先月27日にCNNが主催したバイデンとトランプの討論会は、圧倒的にバイデンが弱かった。トランプが勝ったというよりも、バイデンが自滅した。やはり、80歳を超える老人に大統領を任せることの不安が現実のものとなった。

 

民主党内にはバイデンではトランプに勝てない、候補を変えるべきだという声が出始めた。民主党には、候補になり得る実力のある人材は結構多い。では、どんな人達だろう。

 

カマラ・ハリス(副大統領、59歳)

 

言わずもがなのバイデンに替わる第1候補である。しかし、彼女に党内の重鎮や支持者を引きつけるだけの魅力があるのかは疑問がある。エコノミスト誌1/が行った世論調査では、バイデンより少しだけマシという結果であった。

 

とは言ってもそれほど悲観的でもない。米国の史上始めての非白人(アフリカ系・南アジア系)の副大統領であり、それ以前にサンフランシスコ市郡地方検事とカリフォルニア州の司法長官を務めた。そして、2017年には上院議員になっている。

 

2020年の大統領選では、彼女はランニングメイトとして黒人層の有権者に対してバイデン支持を積極的に訴えた。政権当初に国境問題(不法移民の侵入)の取り扱いで非難されたが、現在は子供を産むか産まないかという女性の権利2/擁護に力を入れている。

 

アンディー・ベッシャー(ケンタッキー州知事、49

 

圧倒的に共和党が強いケンタッキー州で、2019年から知事を務める(2020年の大統領選挙でトランプはケンタッキーで2/3の得票を手にした)。父親も州知事であった。

 

民主党知事として圧倒的に人気があり、失業率の低減、州予算の黒字化、そして自動車メーカーの誘致を訴えて昨年再選された。しかし、州議会は圧倒的に共和党で占められ、議案が否決されるという事態が起きている。

 

ピート・ブーティジェッジ(運輸長官、42歳)

 

2020年の民主党予備選挙で出馬していたので名前を覚えている人もいるだろう。予備選以前はインディアナ州の人口10万人のサウスベンドの市長にすぎず、彼の名前を知る人はほとんどいなかった。

 

2020年の大統領予備選では若さを訴えて出馬した。しかし、序盤は善戦したものの、サウスカロライナ州の予備選で4位にとどまったことで候補から降り、バイデン支持に回った。

 

なお、彼は同性愛者であることを予備選当時から公言しており、パートナーは男性である。

 

ギャビン・ニューサム(カリフォルニア州知事、56歳)

 

民主党の大票田であるカリフォルニア州知事を務める。彼の政治信条は進歩的であり、中絶権利の擁護、銃規制の強化、自動車の化石燃料からの脱却を主張する。

 

大統領選への意欲があり、昨年の秋、共和党候補であったフロリダ州知事のロナルド・デサンテスとの討論会で舌選を繰り広げた。

 

一方、共和党は彼の進歩的な政策を攻撃し、彼が2000年代初頭に市長を務めたサンフランシスコの衰退(多くのホームレス、高い生活費、市政の赤字など)は彼の政治的失策だと非難する。

 

ジャレッド・ポリス(コロラド州知事、49歳) 

 

州知事として2期目を務め、2028年の大統領選に出馬することが期待されている。彼はユダヤ系であり、同性愛者である。多様性や現実的な彼の政治姿勢は民主党支持層に好まれる。

 

ちなみに、政治家になる前はITの起業家であり、彼の資産は少なくとも3億ドルは下らないと言われる。

 

彼が克服すべき問題として、連邦レベルでの知名度が低いことと、所有する資産の脱税が曝露された点が挙げられる。

 

J.B.プリツカー(イリノイ州知事、59歳)

 

実業家であり、慈善事業家、そして政治家である。ハイヤット・ホテルを保有するプリツカー家の一員として、数十億ドルの資産を保有する。

 

2022年の知事選で再選されるとともに、イリノイ州で民主党勢力を圧倒的なものにした。彼の政治姿勢は革新的であり、妊娠中絶の擁護、温室効果ガスの削減、移民の受け入れ、LGBT3/の権利擁護、大麻の合法化、有給休暇の拡大などの施策を進めた。

 

ジーナ・レモンド(商務長官、53歳)

 

政治家であり、弁護士、そしてベンチャーキャピタリストでもある。

 

イタリア系移民の三世であり、父親が勤めた工場が中国への移転に伴い閉鎖されたことで職を失ったという辛い経験を持つ。彼女はハーバード大学、オックスフォード大学、イェール大学で学んだ後、ベンチャーキャピタルの世界に入った。

 

2010年に政界に入り、ロードアイランドの財務長官、そしてロードアイランド初の女性州知事を務めた。州財務長官時代に公務員年金制度の大幅な改革を行い、それが評価された。

 

ジョシュ・シャピロ(ペンシルバニア州知事、51歳)

 

2023年から州知事となる。彼は左派、中道派、そして一部の共和党支持者からも支持がある

 

彼は知事となって、ペンシルベニアの最低賃金を2024年までに7.25ドルから15ドルに上げることを提案した。2023年の州間高速道路95号線の崩壊を素早く復興させたことで賞賛を得ている。

 

ラファエル・ワーノック(ジョージア州選出上院議員、54歳)

 

南部選出の初めての民主党の黒人上院議員である。

 

生活保護を受ける説教師(聖職者)の11番目の子供として生まれた。35歳の時にアトランタのエベネザ・バプティスト教会の主任牧師となった。そこから政治に関与し始め、刑法改正、メディケイド(貧困者向け医療保険制度)の拡大を推し進めた。

 

グレッチェン・ホイットマー(ミシガン州知事、52歳)

 

ミシガン州下院議員、上院議員、そして検察官という経歴を経て、2018年に州知事選に立候補して初当選し、2022年の知事選で共和党候補を下して再選された。

 

彼女はヘルスケアや中絶問題に長年取り組んできた。2020年のドナルド・トランプの一般教書演説に対して民主党代表として反論演説をした。

 

202010月、保守派の極右武装組織「ウルヴァリン・ウォッチメン」が彼女の誘拐を計画したとして、FBIが複数のメンバーを逮捕したという事件が起きている。

 

 

 

1/     The Economist/YouGov

2/     Reproductive Right

3/     Lesbian, Gay, Bisexual, and Transgender

 

 

 

 

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