宿泊業・飲食サービス業の苦悩 (2021/2/26)
二度の緊急事態宣言により、宿泊業・飲食サービス業界は大きな影響を受けた。
観光庁が発表した「旅行・観光消費動向調査」によれば、2020年第4四半期の日本人国内旅行消費額は、前年同期比46.5%減の2兆6935億円であった。
この間は「Go To キャンペーン」が行われていたので、比較的持ち直した時期と言われていたが、それでも前年同期と比べて2兆3400億円ほどが吹き飛んだ。2020年通年で見れば、対前年に比べて12兆円ほどが減少した。つまり、旅行業界は12兆円の売上を失ったということである。
先月末には、総務省統計局が「サービス産業動向調査2020年11月分(速報)」を発表した。宿泊業・飲食サービス業の11月の売上は1兆9750億円で、対前年同期比で19.3%の落ち込みとなり、約4720億円が消えた。
二度目の緊急事態宣言が発令された今年1月以降、宿泊業・飲食サービス業の経営は極めて厳しい。観光業への依存度が高い地域では、この苦境は大問題であり、独自に宿泊助成金やプレミアム付きチケットを提供し、何とか持ちこたえようとしている。
一時医療体制が崩壊しかけたことで、世間の目はそこにしか行かなくなってしまったが、今抱えている問題は、医療か経済かという二者択一ではない。
「Go To」など、コロナ禍が解決してからで良い、業者に政府が補助金を出せがよいなどと短絡的に言うが、それほど単純な話ではない。昨年一年間で日本人が落とした旅行関連費用だけで12兆円が消えている。政府にこの金額を補助するだけの財政余力はない。
現時点で、緊急事態宣言を解除した後の感染者の再拡大を恐れ、政府は「Go To トラベル」の再開は見送るとしている。