安倍・トランプ会談 (2017/1/29)
昨夜の電話会談で、安倍首相とトランプ大統領は来月10日にワシントンで首脳会談を行うことに合意したとの発表があった。
首脳会談では、米国のTPP離脱と日米安全保障が議題の柱となるだろう。少なくとも日本にとって、これら二つは政治的な優先課題である。既にニュースで報道されているように、トランプ大統領はTPPに代わり、二国間の貿易協定を提案しており、安倍首相も何らかの形でそれに応ずると見られる。
トランプ大統領は、日本が多大な数の自動車を輸出する一方で、日本では米国車が売れていないといった趣旨の発言を行った。これに対し、日本のマスコミは、日本が自動車に掛ける関税はゼロであり、加えてかつてと比べれば車の輸出台数は非常に下がっているので、トランプ大統領の認識不足であるとの主張をしている。が、トランプ大統領はそんなことは百も承知であろう。
米国から見れば、日米貿易に不公平は多々ある。とりわけ米の輸入制限や牛肉に対する高率な関税である。日本は農業・畜産業は日本にとって食の安全保障の観点であり、車とは違うと言うが、米国から見れば、経済活動に対する差別という話にしかならない。彼らにとって、産業という観点で見れば、農業と工業は分類の違いでしかない。
自動車分野でも全て問題なしとは言えない。
日本独特の区分である軽自動車に対する低い税率は問題になるだろう。そもそも軽自動車は日本お得意のガラパゴス規格である。寸法と排気量を制限し、税率を軽減し、優遇している。現在の規格でどうなるかは知らないが、かつての軽自動車の規格では米国の安全基準を満足できなかったと記憶している。米国に言わせれば、日本は安全ではない車を税制優遇して売っているという理解になる。
国内の軽自動車メーカーからの突き上げがあり、日本は軽自動車という規格を廃止出来ないまま、ずるずると現状に至ったが、日本がもし自動車分野で公平性を主張するのであれば、合理性のある課税体系に改めるべきであろう。恣意的な車の寸法ではなく、排気量か出力(馬力)、あるいは環境負荷量(燃費、CO2排出)で税制区分するのであれば、正当性は主張できる。
そして、日米安保問題である。表向きは在日駐留米軍の費用負担問題のように見えるが、もっと根本的な部分で要求が出るだろう。すでに、英国のメイ首相との会談で、トランプ大統領はNATOを100%支持するが、加盟国はDGPの2%に相当する軍備負担をすべきと言っている。日本に対しても同じ話になるだろう。
日本が国の安全保障(国防)とその費用をどう考えるのかという、最も基本的な問いを突きつけられるのかも知れない。
問題発言が多く、トランプ大統領に対する批判はあるが、これまで曖昧に妥協してきた問題に切り込んだという点で、決して世間を騒がせるだけの政治家ではない。